住本かずのり後援会
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【日時】2017年7月31日 17:00~18:30
【訪問先】サンフランシスコ Lyft社
【対応者】 Lia Theodosiou-Pisanelli氏
兼松 雄一郎 氏(日経新聞 シリコンバレー支局)
【内容】
ローガン・グリーンCEOは政府公共交通部門の出身であり、なぜ都会に渋滞が起こるのか、また、ジョン・ジマーCEOはホテルに勤務しており、ホテルへのアクセスが悪いという苦情を受けており、どちらも交通問題に対して疑問を持っていた。そして、リフト社は2012年に立ち上げた会社である。
なぜ、このビジネスを立ち上げたのか?アメリカでは、交通移動費が生活費の中で2番目に経費が掛かる。内訳はほとんどが自動車の維持管理の費用である。また、アメリカ人が通勤・通学にかかる時間は年間30ビリオン時間というデータも出ているくらいとても長い時間を移動に費やしている。そして、各家庭の車使用率は4%であり、96%は使用されていない。各都市の駐車場も使われていない。そういう諸問題を解決するために、ライドシェアサービスが誕生して、今や再大手のウーバーに対抗するかたちで、リフト社が台頭してきて2大シェア争いを行っている。リフト社の過去6か月の統計グラフを見ると、1日平均ライドシェアは100万回利用されており、今や350都市、1500人の従業員が働いている。そして、9割方がウーバーとリフト社が占めており、西海岸はリフト使用率が高い。
2025年までにはアメリカ大都市では、車を所有することが無くなる社会がくる。持つことより、シェアすることで必要な時だけ車に乗るという社会がくると予測する。現時点では年間9000ドルが各家庭で車代に消えている。それによって、都会の公共交通のシステムを考えないといけなくなる。現に、アメリカでは高速道路が公園になったり、ニューヨークの鉄道が遊歩道になったりしている。
今後は、3つの車の乗り方の検討が進んでいく。
1.ライドシェア 2.公共交通と組んで目的地に運ぶサービス 3.自動運転
それは、下記の観点から検討されている。
リフト社は5分以内に90%の客が乗れて、目的地に行けている。相乗り率が40%と高くなっており、“リフトライン”として稼働している。相乗り率は当初は低かったが、慣れてくると率も高くなるデータがある。
公共交通とはパートナー連携している。サンフランシスコでは、鉄道の駅から40%の人がリフトを使って目的地に移動している。ただし、距離は1マイル以内が多い。
自動運転は現在は全米で1000台未満が稼働しているが、将来はほとんどが自動運転になる予測である。2030年までに乗客90%(EV)に乗っている推定予測で、コストが1/10になっている。そして、10年後はほとんどが自動運転である。自動運転化は低速走行から徐々に高速走行に広がっていくだろう。リフト社も自動運転の車を開発しようと考えている。
アメリカ各地の状況としては、コロラド州では、市バスの空席率が高く1人しか乗っていない時間がある。代わりにリフト社が客を乗せている。システムとしては、ルートが決まっておらず、客が集まりやすい所に迎えに行き効率良いルートを決めている。そして、バスを止めて自治体がリフト社に補助金を出すことになっている。
サンフランシスコでは、路面電車の止まっている期間(時間・区間)リフト社を走られせて欲しいと自治体からの要請があった。
空港では、タクシー業界との争いがあったのだが、駐車場を減らしたい空港側と折り合いがつき、客にはリフトを使って空港まで来てもらう、空港からは乗り場を使わせてもらうということになった。
ウーバー社とリフト社の違い。
リフト社は公共交通団体とパートナーシップを組んでいる。自治体には、法律に沿う必要があるので、アメリカのみの対応であり国際展開はその国の法律を調べてから入り込む。アメリカでも各州法律が違うので、政府・自治体と交渉が必要で難航する場合もある。
託し業界との軋轢について。
ニューヨーク市は市長の後援組織がタクシー業界なので、組合が強い地区である。法律が厳しく、プロドライバーしか客を乗せてはいけない。市内の60~70%がタクシーである。他はワシントンDCも厳しい都市である。
日本進出の可能性はあるのか。タクシー業界がリフト社と組むことができるのか
世界中から問い合わせがあり、様々な諸問題がある。今のところ日本は考えていない。チャンスがあると考えるが利益になるのかどうか、なぜ、日本のタクシー業界は利益がでないのか、考える必要がある。タクシー40ドルかかる場合、リフトなら、15ドル、相乗りなら8ドル。(サンフランシスコ市内→空港)
それでも利益が出ている。
【所見】
ライドシェアサービスは、時間のある車の所有者、乗客、お互いがウィンウィンの関係になるシステムである。実際、私たちも訪米中はすべて、リフトかウーバーを利用して移動した。アプリさえ入れれば、金銭授受やチップのわずらわしさもなく、また、タクシーより低額で利用でき、待ち時間も短縮される。なんら危ないことも無かったし、ドライバーの評価も確認できる。
車の所有者も常勤もいれば、週末のアルバイトの方もおり働き方も選択できる。日本では、法規制の問題があり、なかなか規制緩和が進まないと進出が難しいが民泊導入が話題になるように、いずれは議論が始まる問題である。また、神戸市でも公共交通の赤字化も問題になっており、公共交通・超高齢化社会にもライドシェア問題は対応できるのではないかと考える。
各国の自動車業界も、これらのライドシェア業界と連携し始めているので自動車産業の盛んなわが国も、規制緩和をはじめ、シェアリングエコノミーなどを真剣に検討しないと、世界から取り残されることになりかねないと考える。