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愛知県豊田市視察報告

2017.01.28

日本維新の会神戸市会議員団 会派視察報告

2017.1.24 愛知県豊田市「とよたエコフルタウン」

愛知県豊田市は、2009年に国から『環境モデル都市』に選定されて以来、温室効果ガスの大幅な排出削減など低炭素社会の実現に向けて、高い目標を掲げて先駆的な取り組みを行ってきています。また、2010年からは次世代エネルギー・社会システム実証地域として、ITSを活用した環境にやさしい交通社会の実現をめざし、次世代自動車の導入実証などを行っています。平成17年の市町村合併により、6町村と合併することで、面積、人工が増え高齢化率も増加しました。そのため、市の約7割が森林となり高齢化率も65歳以上22%と、まさに日本の縮図と言われており、豊田市の今後の施策が日本全般の施策に通じるものがあると注目されています。公共交通では、全市的なバスネットワークの構築に取り組んでおり、中山間部の公共交通はバスに頼らざるえ得ないため、路線見直しに積極的に取り組んでいるようでした。そのため、年間赤字が8、9億円で推移しています。最近は利用者が増えているため、運転手等の人材不足が問題になっており人件費が高騰しています。現在は人口一人当たりの公共交通赤字負担額は人/1500円ですが、将来的には人/2300円まで想定しています。そうなれば、赤字額が3億円増になります。

 

豊田市が先進的に取り組んでいる低炭素社会の実現に向けたまちづくりを体感できるモデル地区が「とよたエコフルタウン」であり、「神戸市環境モデル都市」の実現に向けて取り組む本市において参考にできる部分があると思い視察いたしました。「とよたエコフルタウン」は豊田市の縮図を表しており、【都市部エリア】【中山間地エリア】【山間地エリア】と3つのエリアから成り立っています。

まず、環境アクションプランとして「民生」「交通」「森林」「産業」「都心」と5分野を重点的な取り組みと位置付けています。時間の都合で、エコフルタウン全てを見ることができませんでしたが、視察できた【都市部エリア】部分を報告いたします。

  • 「交通」

スマートモビリティパーク「Ha:moRIDE」

豊田市では、低炭素型の次世代自動車やバスを中心とした公共交通のネットワーク、インフラ整備など、環境負荷の軽減を目指した多様な移動手段を提案しており、その中では超小型電気自動車「COMS(コムス)」が市内移動の足となっています。普通免許が必要ですが、会員登録し、講習を受ければ誰でもシェアリング(有料・予約制)することができます。現在、会員数約3500名、コムス一人乗り100台、二人乗り3台の計103台が市内を走っています。市内には50箇所の太陽光発電と蓄電機能を備えたステーションがあり、ここでコムスのシェアリングサービスを行っています。実際に充電中のコムスに乗ってみましたが、屋根があるハンドルの付いた原付のようでもあり、2ペダルのためゴルフ場のカートのような乗り物でした。豊田市、東京、沖縄などは実証実験を行っていますが、今後は全国各地で採用されるとの事です。全国販売もしており、1台70~80万程度でした。

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ITS(高度道路交通システム)

エコフルタウン内にあるバス停には、ITS(インテリジェント・トランスサポート・システム)が採用されており、IT技術を活用することで、人・道路・自動車が調和し、交通の効率や利便性を向上させることを目的としています。実際に駅までバスに乗車し、バス進入時のシステムを確認しました。

〇バス車両進入管理システム:バスが近づくと自動で車止めが下がり、LEDライトが車道や停車位置を示すことで、バスを安全に止めます。また、バスが近づくと、歩行者に信号の代わりに、バス接近中の表示が現れ、注意を促します。バスが停車すると、横断歩道の代わりに道路に埋め込まれたLEDが点滅し、歩行者を誘導します。

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とよたエコフルタウン水素ステーション(東邦ガス・岩谷産業)

燃料電池車(FCV)に必要なエネルギーステーションが施設内にあり、このステーションでは水素製造装置を備えたオンサイト型で、水素製造装置→一時圧縮機→蓄圧器→充填パッケージ→ディスペンサーという流れで水素をFCVに充填することができます。トヨタFCV「MIRAI」10台分の水素を製造・貯蔵することが可能になっています。また、燃料電池バスへの水素充填も行うことができるよう、広いスペースが取られています。実際、私たちが視察中にFCVが次々に充填に来ておりFCV普及率の高さを目の当たりにしました。

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スマートハウス(トヨタホーム)

豊田市では、全国初のスマートハウス減税を行っており、太陽光発電、蓄電池、HEMS(ホームエネルギーマネージメントシステム)の3つを備えた家の新築、既築の固定資産税を1/2減免を3年間実施しています。私たちが視察したトヨタホームの家は、家庭内エネルギーを「見える化」し、効率よくコントロールするシステムを採用していました。また、自然光や風の流れを計算した窓や軒などが採用された「スローライフシステム」になっています。ちなみに、この視察した家の建築費は坪単価70万円とのことでした。

豊田市は、トヨタ自動車のお膝元ということもあり、積極的に民の部分にトヨタ自動車が関わっており、低炭素社会の実現に向けての実証実験が進んでいた感がありました。FCVが普通に街中を走っており、街中に水素ステーションがある。また、近距離の移動手段にもパーク&ライド方式でEVが日常に使われており街中の渋滞緩和にも一役買っています。そして、エコフルタウンを市役所横に作ることで豊田市の環境に対する取り組みが一目でわかるようになっており、環境先進都市と名乗るだけの事がありました。そして、民生の取り組みとしては個人に対する補助金をつけ、再生可能エネルギーやスマートハウスの普及促進を行うことでエコポイントを発行し、商品券に交換できるなどで市民ひとり一人にインセンティブやモチベーションを与え市民意識の向上を図っていました。

神戸市においても、低炭素社会の実現としては三宮中心とした渋滞緩和策の超小型EVのカーシェアリング、パーソナル移動手段の次世代パーソナルモビリティの活用、FCV普及促進、水素ステーションの設置促進、公共交通の利便性向上としてバスネットワーク整備などは必要だと感じました。そして、市民個人の環境意識の「見える化」を行うことで、市民意識を向上しての環境貢献都市となるような取り組みが必要だと視察を通じて感じました。

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