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韓国姉妹都市等提携5周年記念訪問レポート(前編)

2015.08.29

8/26から8/28まで、神戸市と韓国姉妹都市提携している仁川広域市、大邸広域市に訪問視察してきました。
前編として、仁川(インチョン)広域市の視察についてレポートします。

【視察先1箇所目】:仁川経済自由区域(Inchon Free Economic Zone=IFEZ)は、松島(ソンド)、永宗(ヨンゾン)、青蘿(チョンラ)の3つのエリアに分けて特化開発されています。各エリアはそれそれが橋で繋がっており、仁川国際空港、港湾施設とのアクセスの良さの利便性を活かし、多くの外国人投資額が集まってきております。
(2015.4.時点で71,125億円、10年前と比較して約3倍)またそれに伴って、人口が10年前比較で7.8倍(227,407人)となっております。各エリアごと開発方向を説明すると、“永宗”は、国際空港のあるエリアで航空・観光・レジャー産業(カジノ複合リゾート)、“青蘿”は金融・観光・レジャー・先端産業、“松島”は国際ビジネス・IT・大学・先端国際サービスなどに分けられています。写真は松島地区。
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【視察先2箇所目】:コンパクトスマートシティ。上記の経済自由区域はコンパクトスマートシティとして、各地区計画・設置されており、生活用排水や雨水を道路清掃用や公園用水として、または家庭ゴミなどが固形燃料や焼却エネルギー利用などの再利用システムが採用されています。そのためこれらの二酸化炭素排出権取引、燃料販売などで利益が生まれます。驚いたことにこの地区にはゴミ収集車がありません。すべてこれらのマンション(韓国では高層住宅をマンションという)の地下にコンベアのようなものがあり、一箇所に集められるそうです。
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【視察先3箇所目】:仁川港湾公社。1883年開港という歴史をもつ港町として栄えた仁川港を一括して管理・運営するのが仁川港湾公社です(国が100%出資していますが、現在は民間出身が社長を務めています)。北港、内港、南港、新港から成り立ちます。仁川は潮の干満の差が激しいことで有名なため、内港利用の際は必ず水門を利用して貨物船を内港誘導します。内港は潮の干満に関わらず一定の水深を保っており、船底が底につくことはありません(それを利用した朝鮮戦争の仁川上陸作戦は有名です)。水門は2つあり、1万トンまで(写真の手前)、5万トンまで(写真の奥側)と利用トン数が決まっておりこれらの開閉も重要な業務になっております。なお現在は貨物船の巨大化に伴って、新港に干満差に関係なく離着岸できる新バースが建設中です(現在6バース完成)。
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仁川広域市は人口290万人と韓国第3位の都市で、国策で計画的に経済自由区域を国際空港、港湾を一体化して韓国経済を支えています。そして、資源の有効活用も積極的に行われており見習う点が多々ありました。神戸市は関西国際空港、神戸空港、医療産業都市、港湾、ポーアイ・六アイの住居部分などの一体化が進んでおらず、アクセス面等の課題がまだまだあります。例えば神戸市も、各エリアごとにテーマを持ち特色ある地域づくりをすればいいのではないかと考えます。
なお、韓国では韓中FTAが締結されており、仁川港貨物取り扱い量約60%が中国だそうです。もし日韓中FTA締結が行われば3カ国貿易が実行でき、阪神港も発展が期待できると感じました。
そして私が現地の方に聞いた影の部分としては、仁川市はアジア陸上大会の誘致・運営で多額な額を使い、また港湾モノレール計画もレールだけ建設したが、そのまま資金ショートで業者が倒産するなどの過剰投資が過ぎ、新港バース計画も止まっているとのことです。また、ソウルのベッドタウン化で不動産上昇しており年々住み難くなっており、財政に余裕ができれば市税が減額されるという話も反故されているという状況があるそうです。国も一時の勢いがなく、釜山の投資を優先しておりこのまま仁川港が発展し続けるかは不明との個人的見解でした。
この点からは、地域はあくまでも国に頼りきるのではなく、地域で自立する運営計画を立てるべきだと感じました。
後半に続く。

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